現代では、正装と言えばスーツにネクタイが当たり前ですし、ビジネスマンであれば毎日ネクタイを締めているものです。
あまりにも当然のことになりすぎて、なぜネクタイを締めるようになったのかと考えてみたことはありますか?
ネクタイはいつの時代からどこで始まり、なぜスーツとセットで使われるようになったのでしょうか。
今回は、ネクタイの歴史について詳しく解説してきます。
始まりはスカーフ
ネクタイは最初から現在の形をしていたわけではありません。
ネクタイの発端とされるものは、スカーフです。
そして、そのスカーフがネクタイだと認識されるようになったのはヨーロッパが始まりなのです。
ネクタイの語源
遡ると、兵士たちが寒さをしのぐためにスカーフを巻いていた時代からになります。
そして、ネクタイという言葉が始まったのは、ルイ13世の雇っていたクロアチア人傭兵達が首に巻いていたスカーフだと言われているのです。
フランス語でネクタイはクラヴァット(cravate)と呼ばれており、クロアチア人はフランス語でクロワットと発音します。
ルイ14世が、クロアチア人の巻いているスカーフが気になり側近に尋ねたところ、側近が勘違いして「クロワット(クロアチア人)です。」と答えたそうです。
そこから首に巻いていたスカーフがクラヴァットと呼ばれるようになったと言われています。
西洋でネクタイが流行する
1650年頃にはネクタイが正装として宮廷の中で定着化するようになり、シルクでリボン風に絞めるなどファッションとして首周りを着飾るようになったのです。
宮廷で定着化したことによって、市民にもファッションとして広がっていきヨーロッパ中でネクタイの原型となるものが新しいファッション小物として取り入れられるようになったのです。
現在の形に近付くのは1860年代
ヨーロッパでネクタイの原型となるものが流行したものの、まだ大きめのスカーフが畳んで使われていただけでした。
現在のネクタイの形に近付くようになったのは、1860年代頃になります。
この頃にはネクタイの種類も豊富になり、結び下げネクタイや蝶ネクタイなどがありました。
そして、イギリスのクリケットクラブの生徒がユニフォームにレジメンタルタイを結んだことで属するクラブ毎にネクタイが存在するようになったのです。
ネクタイが世界に広まったのはアメリカから?
ヨーロッパではネクタイ文化が広まっていましたが、世界的にネクタイが広まるキッカケになったのはアメリカでしょう。
1919年に英国大使がアメリカ訪問した際に、英国近衛兵第一連隊がレジメンタルタイを着用しており、そこからアメリカでレジメンタルタイが大流行しました。
その後ネクタイは広まり、1920年代にはさまざまな柄のネクタイが作られるようになったのです。
日本におけるネクタイの歴史
ヨーロッパから始まり、アメリカに広まっていったことで世界的に広まりをみせたネクタイですが、日本にネクタイが入ってきたのはいつからでしょうか?
日本におけるネクタイの歴史について見ていきましょう。
日本でネクタイが始まったのは1851年
日本にネクタイが入ってきたのは、1851年と言われています。
通訳として日本とアメリカのかけ橋となったとして知られるジョン万次郎が最初に日本でネクタイを結んだ人物なのです。
ジョン万次郎は、14歳で漁の途中で遭難していたところアメリカの捕鯨船に助けられてアメリカに渡ることになりました。
そして、1851年にアメリカから帰国した際にネクタイをしていたのです。
日本におけるネクタイの製造
和装が中心の文化でしたが、大正から洋服が一般市民の中でも定着するようになりました。
鎖国をしていた日本が、文明開化によって西洋文化を取り入れるようになったのです。
そして、ネクタイの国産第一号が製造されたのが、1884年10月1日だとされています。
当時、帽子商であった小山梅吉が中古のネクタイを見本にして裁断を行い、蝶ネクタイを作ったと言われています。
このことから、日本ネクタイ組合連合会は10月1日を「ネクタイの日」と定めています。
高度成長期で需要が増す
文明開化から洋服が大衆にどんどん浸透していくと同時に、スーツやネクタイも浸透していくようになりました。
そして、高度成長期に入ると同時に、サラリーマンの必需品としてネクタイの需要が増すようになったのです。
更にはファッションもさまざまな流行がある中で、ネクタイの柄や素材も増えていくことでデザインが多様化されるようになっていきました。
そして、現在の日本におけるネクタイ文化が定着するようになったのです。
まとめ
今私達が当たり前のように身に付けているネクタイにも歴史があり、形を変え、国を超えて日本に伝わってきました。
そして現在ではさまざまなデザインのネクタイが手に入るようになり、身だしなみの一つとして重要な役割を果たしているのです。
そして、これからも更にネクタイはどんどん進化を遂げていく可能性を秘めています。