LOUIS VUITTONといえば知らない人を探すほうが難しいくらい有名なラグジュアリーブランドですね。
俗説ですが、
「日本人の3~4割がルイヴィトンの製品を持っており、その数はトヨタ車を持っている日本人に匹敵する」
と言われる程の多くの人に浸透しているブランドです。
でも、それ以上の事ってあまり知られていないかもしれません。
バッグや財布などの革小物を検討する際に、ルイ・ヴィトンという選択肢もきっと入ってくると思います。
そんな時にルイヴィトンというブランドについて、歴史やデザインなどをより深く知った上で選んで欲しいと思い、記事にしたためました。
ルイ・ヴィトンというブランドの軌跡やブランドの在り方を知れば、より製品への愛着をもって接することができます。
ルイ・ヴィトンを知る
ルイ・ヴィトン・マルティエは1854年に旅行用のトランク職人のルイ・ヴィトンによって創業されました。
ちなみにマルティエはフランス語で「トランク製造職人」という意味。
以来、子々孫々に受け継がれて現在は創設から160年を超えています。
鋭角的な美的感覚や感性を持つデザイナーやルイ・ヴィトン家の企画とそれを高い水準で形にする職人の両輪で世界最高峰のブランドとしての地位を得るに至りました。
ルイ・ヴィトンの伝統と革新の製品開発
ルイ・ヴィトンが所属するLVMHグループのベルナール・アルノーによれば、次のようにまとめられています。
旅行用鞄のメゾンとして始まったルイ・ヴィトンは馬車、客船、車、飛行機と交通手段の変遷と共に歩んできたブランドであり、旅を楽しみ、人生を楽しむ人たちのための製品を作り続けている。
だからどこまでいってもルイ・ヴィトンの原点は旅であり、旅こそが人生の芸術だ。
ルイ・ヴィトンは旅に関するユニークな世界観を持っている。
そんな世界観を開放できるように製品を開発している。
このように、伝統を汲んで、ルイ・ヴィトン家やマーク・ジェイコブスのようにブランドの歴史や精神にふさわしい才能、アイデア、人間性を持つデザイナーが先の時代を行く独自の鋭角的なセンスを存分にふるってルイ・ヴィトンの製品が開発されているのです。
ルイ・ヴィトンの品質と技術力
ルイ・ヴィトンの製品は卓越した品質であり、こだわりの品質で物語のある品質です。
タイタニック号の引き揚げ時にルイ・ヴィトンのトランクは一切浸水していなかったと言う逸話も残っているくらいです。
卓越した品質を支えているのは職人です。
工場から販売までの全てを自社で管理しています。
フランス国内の学校で細部まで入念に準備されたプログラムによって徹底的に教育され、究極の品質と厳しい管理を学び価格にふさわしい品質を可能にしています。
こだわりの品質を生み出すのは選りすぐりの素材と職人の技術です。
トランクを例に挙げればマルヌ県で育ったポプラのみを扱います。
さらに、そのポプラは5~8年かけて自然乾燥させてから使用されます。
数年がかりで完成しています。
また、革も最上の物だけを競り落として利用しています。
こうして選りすぐられた素材は職人の手で作られます。
機械での製造は行っていません。
製造の機械化は技術的には可能のようです。
機械で全く同じかそれ以上の精度で製品を作る事は可能ですがルイ・ヴィトンはそれをしません。
敢えて職人の手で作る事でルイ・ヴィトンというブランドの歴史や伝統、培ってきた技術を乗せた商品に昇華するからです。
ただの物としてではなく、その歴史など全てを含んでこそのルイヴィトンの製品です。
ルイ・ヴィトンを支える7つのサービス
ルイ・ヴィトンではサービスは品質の一部だと考えられています。
ですのでそのサービスにも抜け目がありません。
サービス1:リペア
糸の一本に至るまで同じ物を用意し、依頼者と直接相談しながら対応を行い、リペアの訓練を積んだ熟練の職人が修復します。
ルイ・ヴィトンを愛している人ほどリペアの要望が強いのだそうです。
そういったお客さんを大切にする「おもてなし」の心遣いを感じます。
サービス2:イニシャル
お客さんの要望に併せてのイニシャルの刻印なども無料で対応しています。
サービス3:パーソナルキー
2代目のジョルジュに導入された、ピッキングで開けられない鍵。
顧客一人ひとりに専用で鍵を作るサービスがあります。
作成時に氏名と鍵の番号が顧客名簿に永久登録されるので失くしても同じ物を作ってもらうことができます。
また、全てのトランクを同じ番号で開けられるように造ってもらう事も可能です。
サービス4:スペシャルオーダー
モノグラムの製品をタイガで作ってもらうとか、スロットやポケットを増やすなどのmade to orderが可能です。
また、全く存在しない商品を作ってもらう事もできます。
有名な話では、市川海老蔵が襲名記念に父の市川團十郎からルイ・ヴィトンのカスタムメイドの化粧箱を贈られたというのがあります。
その他サービス
ほかにも、リザベーションやダイレクトオーダー、充実のカスタマーインフォメーションもあリマス。
ルイ・ヴィトンの5つの代表ライン
ルイ・ヴィトンには5つの定番ラインがあります。
代表ライン1:ダミエ
ルイ・ヴィトンで最初にできたライン。
なんと生まれたのは1888年、130年以上前です。
当時の日本では伊藤博文が1回目の総理大臣をやっていた頃と考えると教科書に載るくらいの大昔という印象を受けますね。
しかし、図案が煩雑では無かったため贋作が大量に出回ることになり廃止に至りました。
今は、モノグラムの100周年記念とタイミングで復活して定番ラインに戻ります。
代表ライン2:モノグラム
創業者のイニシャルであるLVと花と星を組み合わせた図案。
1896年に贋作対策として生まれ、今や最も知られているライン。
なんと、日本の市松模様にインスピレーションを受けたものだと言われています。
ちなみに1896年は「アメニモマケズ」で有名な宮沢賢治が生まれた年です。
代表ライン3:エピ
フランス語で「麦の穂」を意味するようです。
名は体をあらわすと言うとおり、麦の穂をイメージしたラインになっている。型押し自体はは一般に水シボと言われるもの。
最高級のレザーを用いて型押しを行い、表面への着色を施しているため、山の部分と谷の部分で見た目に差ができ。ツートーンの調子が美しいです。
日本がバブルを謳歌している頃に販売が開始されました。
一気に最近の物の感じがする人もいるかもしれません。
代表ライン4:タイガ
ロシアやカナダの針葉樹林帯であるタイガをイメージしたライン。
格子状の型押しを施したシンプルなラインでかっこいいがどの辺が針葉樹林を模してるのか私にはわかりませでした。
ルイ・ヴィトンの中ではビジネスシーンでの利用にももってこいの唯一のラインです。
代表ライン5:ヴェルニ
「エナメル」を意味するVernisにルーツを持ちます。
またもや名は体をあらわすと言うように、エナメルの様な光沢感のあるラインです。
艶感の強い素材にモノグラムで使われるようなLVと花と星を組み合わせた柄が型押しされています。
ルイ・ヴィトンの有名なデザイナーであるマーク・ジェイコブスの処女作でもあるようです。
限定ライン
最近で言えばSupremeとのコラボアイテムがありました。
ルイ・ヴィトンでは基本的に定番ライン以外は全て廃盤になります。
つまり、売り切り終了という事です。
再販はほぼ無いので気になるものがあったら手に入れておきましょう。
ルイ・ヴィトンは為替変動以外の理由での価格変更を行わないうえに、価値が下がらないのでやっぱり要らなかったという場合でもほぼ買値で売れます。
ルイ・ヴィトンという製品を選ぶにあたって
以上の様にルイ・ヴィトンというブランドが積み上げてきた凄まじい歴史や物語とその重み、品質のための限りないこだわりなどを知っていれば購入を検討する際から使っているときの全てのタイミングでルイ・ヴィトンの製品への愛着が湧きます。
ぜひ、ルイ・ヴィトンの歴史を含めてその製品を愛用してください。
参考文献
『ルイ・ヴィトンの法則』東洋経済新聞社 長沢伸也著
『ベルナール・アルノ、ー語る』イヴ・メサロヴィッチ 日経BP社